胃瘻造設術

どのような時に胃瘻造設をするか

 

胃瘻造設の適応については、

1.経口摂取が不可能もしくは不十分で長期に渡って経管栄養が必要だと考えられる場合

2.経鼻胃管の挿入が容易ではない、予定外抜去が多いなど、経鼻胃管の管理が大変な場合

3.重症心身障害児で噴門形成術が必要な場合、合わせて胃瘻造設が行われることが望ましい(げっぷができなくなるため空気を抜くことが必要)があげられます。実際には3のケースが多いようです。

経鼻胃管に対する胃瘻のメリットとして、胃管の気管への誤挿入の危険がなくなること・鼻がふさがれないため呼吸がしやすくなること・胃管挿入の負担がなくなること・粘度が高いもの(ミキサー食や半固形栄養剤)の注入もできるようになることなどが挙げられます。

 

胃瘻カテーテルのタイプ

胃瘻カテーテルの種類には、体の外側に出ている部分の違いでボタン型とチューブ型の2タイプがあり、胃壁の内側にあるチューブが抜けないための仕組みとしてバルーン型とバンパー型の2タイプがあります。小児においては、バンパー型が選択されることは少なくバルーン型が好まれています。チューブ型とボタン型に関してはそれぞれメリットとデメリットがあります。ボタン型のメリットは、目立たないこと・体の外に出ている部分が少ないためひっかかって事故抜去する危険性が少ないことがあげられます。デメリットとしては、胃の内圧が高いと逆流防止弁が壊れてしまい交換が頻回になってしまう可能性があること・腹壁の厚さとカテーテルの長さが合わないときに漏れが生じやすくなることなどがあります。

 

胃瘻の合併症

胃瘻の合併症には

1.    肉芽

2.    胃瘻部からの漏れ

3.    胃の変形による胃食道逆流の悪化

4.    バルーンの十二指腸迷入

5.    埋没バンパー症候群

があります。

肉芽ができると分泌物や出血を認めることがあります。分泌物があった際に感染と勘違いされ消毒をされていることがありますが、胃瘻は造設時以外に感染を起こすことはありません。肉芽ができないようにするには、チューブのぐらつきができるだけ少なくなるようにすること、ガーゼの摩擦をできるだけ少なくなるようにすることがよいと思われます。

胃瘻からの漏れの原因は、緊張が強く腹圧が強くかかる場合、胃瘻の位置が正中から外れておりチューブのぐらつきが大きい場合、腹壁の厚さとボタン型チューブのサイズがあっていない場合、胃から十二指腸への排泄が悪く胃の内圧が上がりやすい場合、があります。この漏れに対して、チューブ型胃瘻のストッパーを強く締めたりボタン型チューブを必要以上に短くしたりすることは、埋没バンパー症候群が起きるためお勧めできません。また太いチューブにするのも逆効果で瘻孔が破壊されさらに漏れがひどくなることがあります。胃瘻からの漏れに対する対処としては、太らせること・胃瘻カテーテルのタイプを漏れにくいものに変更してみること(バルーンを扁平タイプにするなど)・経胃瘻十二指腸チューブを使用するなどがあります。