13.気管カニューレ交換

 

 (1)準備するもの

 ・気管カニューレ・Y字ガーゼ ・固定紐またはカニューレホルダー

 ・人工鼻 ・シリンジ (カフ付き気管カニューレを使用している場合)

・クリーンコットン(気切部の清拭用)

(2)

@石鹸で手を洗う

Aカフ付気管カニューレの場合、交換前にカフに空気を入れて膨らむか、破損がないか確認する。確認した後は空気を抜いておく

看護師

 

B必要物品を用意し、手の届きやすい場所に置く

C首の後ろにバスタオルなどを置き、首を軽くそらして

体位を整える

DY字ガーゼを取り除く

E固定紐またはカニューレホルダーを外す

F気管カニューレの翼の部分を持って気管カニューレを

静かに抜く

・カフ付きの場合は、必ずカフの空気を抜いておく

・気管カニューレは約90度に曲がっているので、

その曲りに沿って抜く。

新たに挿入する時も、つの字を書くように挿入する

・自分で呼吸ができる子どもの場合は、気管カニューレを抜いた際に、気管切開孔の皮膚の状態を観察する。皮膚の発赤や腫脹、肉芽ができている場合は医師に相談する。

G気管カニューレの翼の部分を持ち新しい気管カニューレ

をゆっくり挿入する

 カフ付きの場合は、挿入後カフの空気を入れる

看護師

 

H固定紐またはソフトネックホルダーを気管カニューレの片側に通し、首の後から回し、反対側にも取り付ける

I頸と気管カニューレの間にY字ガーゼを挟む

J交換が終わったら、児の顔色や呼吸の様子を観察する

四角形吹き出し: 固定の強さは指1本が入るくらい 


(3)注意点

・カニューレ交換前に、吸引し、呼吸の様子が安定していることを確認する。痰が残っていると、気管カニューレを交換中に噴き出すことがあるので注意する。

・カニューレの交換はできれば保護者と2人で行うと良い。

・人工鼻の交換は11回を目安に行う。

痰で人工鼻のフィルターが目詰まりする場合は交換する

・食事直後の交換は嘔吐の原因となるので避ける

・必ず次回交換用の予備の気管カニューレを準備しておく

 

(4)トラブル時の対応

 

 

気管カニューレが抜けてしまった

慌てずにゆっくり新しい気管カニューレを入れる。新しいものが無い場合は、抜けたカニューレを入れ直す。

気管カニューレが入らない

体位が適切でない事が考えられる。首の後ろに枕を置いて、首を伸展させて挿入してみる。どうしても入らない場合は、すぐに受診する。

啼泣していると力が入り、カニューレが入らない。抱っこするなどして落ち着かせてから挿入する。

気管カニューレから大量に血が出てきた!

気管と腕頭動脈の間に瘻孔ができた可能性がある。急いで救急車で受診する。

 

<引用・参考文献>

(1)  小川 勝彦 :重症心身障碍児・者医療ハンドブック、三学出版、2010

(2)  沖 高司、熊谷 俊幸編:小児・障害児(者)のための在宅医療マニュアル、金芳堂、2008

(3)  松石 豊次郎 杉本 健郎 編:医療的ケア研修テキスト、クリエイツかもがわ、2006

(4)  喀痰吸引等指導者マニュアル‐厚生労働省‐http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/tannokyuuin/dl/5-1-2.pdf